特定技能は本当にやめやすい?

「特定技能はやめやすい」と言われます。しかし本質は**“やめやすさ”ではなく“選べる時代”**になったということ。日本にまで来て働く人は、強い動機と覚悟を持っています。それでも辞めるのは、より良い職場へ移るためです。では、雇用側は何を整えれば “選ばれる職場” になるのか。処遇・環境・運用の3点から実務的に整理します。
目次
なぜ辞めるのか?――行き先は「より良いところ」
- 処遇の透明性:給与テーブル、昇給の基準、評価の観点がわかりやすい会社へ。
- 働きやすさ:シフトの柔軟性、残業運用、休暇の取りやすさ。
- 成長機会:任せる範囲やスキル習得の機会。
- コミュニケーション:外国籍も日本人も、言語・文化差を前提にした対話設計があるか。
「辞められた = うちが魅力不足」
きついですが、ここを直視するほど改善スピードが上がります。
「日本人は辞めにくい?」という思い込み
- 退職の判断軸は国籍ではなく、待遇・環境・成長のバランス。
- 30年前のアジアとは違い、グローバルに選べる時代。日本人と同様に、働きがい(やりがい+働きやすさ)が重要です。
- **“同じ仕事なら同等の処遇”**を原則に、納得できる説明と見える化が欠かせません。
給与は「日本人と同じ基準」から始めよう
「そんなに出せない」という前に、まず確認したい3点。
- 基本給の基準:同職種・同難易度で同等水準になっているか。
- 手当・割増の定義:残業・深夜・休日などのルールを日本人と同じ説明資料で提示しているか。
- 昇給・賞与の連動:評価と支給の連動が仕組みとして伝わっているか(口約束ではなく)。
ポイント:金額だけでなく根拠の透明性。根拠が見えれば、人は納得しやすくなります。
“選ばれる職場”のチェックリスト(雇用側向け)
処遇(Pay)
- 給与テーブル/手当の定義書(日本語+英語/タガログ等で用意)
- 昇給・賞与の評価基準とスケジュールの公開
環境(Place)
- シフト確定の締切・変更ルールの明文化
- 残業の事前承認プロセス/上限運用の徹底
- 休暇申請のデジタル化(紙申請をやめる)
育成(Progress)
- 入社1か月・3か月・6か月の育成マイルストーン
- 日本語/業務日本語/安全衛生のオンボーディング教材
- 先輩メンター制度(1対1で週15分のチェックイン)
コミュニケーション(People)
- 多言語の就業ルール要約1枚(図解)
- 月1回のショート1on1で不満・不安の早期発見
- ハラスメント/相談窓口の周知(掲示+配布)
面接・入社時に「見せながら」すり合わせる
採用段階で“後出し”をなくすと離職は激減します。
面接台本(抜粋)
- 勤務時間・休憩・残業の実際(図で)
- 給与内訳と割増の考え方(例示)
- 評価の観点と昇給の決まり(時期・期待値)
- 有給・シフト変更の運用(期限・方法)
- 研修と独り立ちの基準(何ができたら合格か)
- 退職時の手続き(返却物・最終精算)
**“言った”ではなく“見せた”**を残す:配布資料・サイン・既読記録を残し、相互認識を確実に。
具体的な改善アクション(今日から)
- 給与・評価の1ページ要約を作る(配布+掲示)
- オンボーディング初日プラン(半日で完結:安全・業務・人・道具)
- 週次15分のチェックイン(上長が質問する型を決める)
- 通訳/多言語サポートの窓口(社内に1名、外部1名)
- 生活サポートの初期FAQ(住居・交通・病院・携帯・銀行)
それでも合わなければ、無理はしない
やるべきことをやってすり合わせても、価値観が根本的に合わないことはあります。その時は、手順に沿って淡々と。
- 最終出勤・返却物・アカウント停止・清算をチェックリストで運用
- 社内共有は事実のみ。憶測やレッテル貼りは厳禁
- 離職データを学びに転換(原因×部署×時期の見える化)
よくある質問(FAQ)
Q1:特定技能は本当に“すぐ辞める”の?
A:一部にありますが、理由の多くは条件・環境・成長機会の魅力度差です。そこを整えると定着は安定します。
Q2:ビザを取ってすぐ辞められたらどうする?
A:感情ではなく標準手続きで対応。退職理由は学びとして記録し、採用段階の説明と運用を見直しましょう。
Q3:日本人のほうが辞めにくい?
A:国籍ではなく職場の魅力度で決まります。同じ基準・同じ説明・同じ運用が出発点です。
まとめ
- 「辞めやすい」のではなく、“選べる”時代。日本人も外国籍も判断軸は同じ。
- 同じ仕事に同じ説明と運用。処遇の根拠と成長の道筋を見せて伝える。
- それでも合わない時は、無理をしない。お互いにとって最善の選択を支える手順を整える。
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株式会社オーティル


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