介護業界で特定技能人材を採用するために知っておきたい基礎知識

日本の介護業界は、少子高齢化の進展により深刻な人材不足に直面しています。厚生労働省の試算によれば、2040年には約69万人もの介護人材が不足すると予測されています。
こうした状況を打開するために導入されたのが、特定技能制度です。外国人材を介護の現場で活躍させる仕組みは徐々に広がりつつありますが、その活用には正しい理解が欠かせません。
本記事では、介護業界で特定技能人材を採用するために知っておきたい基礎知識を整理しました。
目次
1. 特定技能制度とは?
特定技能制度は2019年に創設された在留資格制度で、深刻な人手不足分野に外国人労働者を受け入れることを目的としています。
介護分野における特定技能のポイント
- 在留資格:特定技能1号(最長5年間の就労が可能)
- 試験要件:介護技能評価試験と日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)
- 技能実習2号修了者は試験免除
- 家族帯同は不可(ただし、介護福祉士を取得すれば長期在留・家族帯同が可能)
2. 採用の基本的な流れ
外国人介護人材を採用する場合、以下の流れを押さえておきましょう。
- 候補者選定(送り出し機関・登録支援機関と連携)
- 試験合格確認(介護技能評価試験+日本語試験)
- 雇用契約締結
- 在留資格認定証明書の申請
- ビザ取得 → 入国 → 就労開始
書類の不備や申請の遅延を防ぐためには、専門知識を持つ登録支援機関のサポートが不可欠です。
3. 登録支援機関の役割
介護分野で外国人材を受け入れる際、企業は支援計画を実行する義務があります。
- 生活ガイダンス(銀行口座開設、携帯契約、公共サービスの利用方法)
- 日本語学習の機会提供
- 住居確保のサポート
- 定期的な面談や相談窓口の設置
自社で対応が難しい場合は、登録支援機関に委託することで義務を果たせます。
4. 定着のために大切なポイント
採用した人材を長く働いてもらうためには、以下の工夫が必要です。
- 待遇を日本人と同等以上に:給与格差は離職リスクにつながる
- 現場スタッフへの教育:文化・習慣の違いを理解し、受け入れる意識を醸成
- キャリア形成支援:介護福祉士資格取得のサポートを用意することでモチベーションが向上
まとめ
介護分野における特定技能制度は、単なる人手不足解消の手段ではありません。
**「外国人材を仲間として迎え入れ、定着させる仕組み」**を整えることが、介護現場の未来を切り開くカギとなります。
正しい制度理解とサポート体制の構築により、外国人材は介護業界の大きな戦力となり、利用者へのサービス向上にもつながるでしょう。