外人はビザ取ってすぐやめる?

「外国人はビザを取ってすぐ辞める」と耳にします。確かにゼロではありませんが、正直かなりの少数派です。多くの人は他国まで働きに来るだけの強い動機を持っています。では、なぜ辞める人がいるのか。結論はシンプルで、より良い職場へ移る自由があるからです。
本記事では、期待とのギャップ処遇の不公平感が離職を招く構造を整理し、今日からできる改善策をまとめます。


目次

来日して働く人の前提:動機は強く、選択肢も多い

  • 強い就労意欲:海外就業の準備・手続き・費用・言語学習を乗り越えて来日。
  • キャリア選好の多様化:給与水準だけでなく、成長機会・働きやすさ・尊重される実感を重視。
  • “憧れの日本”だけではない時代:いまは「住んでみたい国の一つ」。条件次第で別の選択肢に移る合理性があります。

ポイント:国籍で意欲を語らない。個人差が大きいからこそ、職場の魅力設計が勝負です。


退職につながる主なギャップ(現場例)

1) 聞いていた話と違う(情報の非対称)

  • 面接時の説明と実態がずれる(残業/シフト/休暇運用、配属内容 など)
  • 「書面」と「現場運用」が一致していない

2) 同じ仕事・同じ責任だが、処遇が低い

  • **Equal Pay for Equal Work(同一労働同一賃金)**の原則が体感できない
  • 基本給や各種手当、昇給・賞与の基準が不透明

3) 働きがい・尊重の不足

  • 指示はあるが評価やフィードバックがない
  • 言語・文化差を理由に意見が反映されにくい

4) 生活・実務サポートの不足

  • 住居/口座/病院/携帯など初期生活の壁を一人で抱え込む
  • 通訳・相談窓口がない/機能していない

「日本人と同じ仕事に、同じ説明と運用」を出発点に

  • 給与テーブル:職種×等級×難易度で公開し、国籍に依存しない基準を提示
  • 割増・手当の定義:残業・深夜・休日、住居・通勤などを言語併記で明記
  • 評価と昇給:時期・観点・反映方法・サンプル評価表を見せながら説明
  • 就業ルールの“1枚要約”:図解+多言語で配布し、入社時に読み合わせ

例えるなら、「九州から東京に来た若手」へ接するのと同じ目線。国内外の区別ではなく、フェアで分かりやすい仕組みで迎え入れること。


今日からできる改善アクション(チェックリスト)

情報の透明化

  • [ ]求人票・内定通知・就業規則の表現を統一
  • [ ]「勤務時間/休憩/残業/休暇」のフローチャートを作成
  • [ ]給与内訳・割増例のサンプル計算書を配布(多言語)

オンボーディング

  • [ ]入社初日に半日パッケージ研修(安全・業務・人・道具)
  • [ ]1か月/3か月/6か月の到達目標を提示
  • [ ]週15分の1on1を最低3か月運用(不安の早期検知)

サポート体制

  • [ ]**相談窓口(人事/現場/外部)**を二重化
  • [ ]生活FAQ(住居・病院・携帯・銀行)を配布+掲示
  • [ ]翻訳/通訳の社内キーパーソンを指名

データと改善

  • [ ]離職理由を分類×部署×時期で可視化
  • [ ]面接台本・配属フローを四半期ごとに見直し

コミュニケーションのコツ(現場向け)

  • “言った”ではなく“見せた”:資料・スライド・既読記録を残す
  • 否定から入らない:背景→事実→代替案の順で伝える
  • 文化差は前提に:言い回し・非言語の違いをチームで共有しておく

まとめ

  • 「ビザを取ってすぐ辞める」は少数。多くは期待と実態のギャップ不公平感が原因。
  • 同じ仕事=同じ説明と運用。フェアでわかりやすい仕組みが定着を生む。
  • 日本を“特別視”に頼らず、パートナーとして迎える設計に切り替えることが、採用・定着の最短ルートです。

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