外国人採用で起きるトラブルの本質|「契約」を中心にした予防策ガイド

外国人人材を雇用しても、基本的に起きるトラブルは日本人採用と同じです。遅刻・欠勤、コミュニケーション、業務品質など、人間同士の課題は共通です。ただし、外国人採用ではこれに「契約に起因するトラブル」が追加されやすい点が決定的に違います。
目次
なぜ契約トラブルが起きやすいのか
- 契約社会の前提:多くの国では「契約=約束の全て」。面談時から契約書の条項が重視され、書面通りの運用が求められます。
- 日本側の感覚とのズレ:日本では「雰囲気」「運用で吸収」が起こりがち。契約書が曖昧、または運用と乖離していると、のちに必ず衝突します。
雇用契約書に必ず明記すべき項目
以下は最低限。変則や例外は本文に明記するか別紙で確実に示します。
- 基本給・各種手当:職務/資格/皆勤/通勤/住宅/夜勤/固定残業の有無・時間数・内訳
- 労働時間とシフト:1日の実働と休憩、始業・終業、シフトパターン(複数あれば全て)、変形労働の有無
- 勤務日数・休日:週〇日勤務、月平均〇時間、土日祝の扱い(ホテル・リゾート等は休日扱いにならない場合を明記)
- 残業・深夜・休日割増:法定内/外の区別、割増率、計算方法
- 控除・手取り:所得税・住民税・社会保険・寮費・水道光熱費等の自己負担。想定手取り額(総支給-控除)
- 支払条件:締め日・支給日、支払方法、送金手数料の負担者、通貨
- 就業場所・業務範囲:配属先、配置転換の可能性と条件
締結プロセス:読み合わせと修正が前提
「作ってもらった契約に判を押す」ではなく、読み合わせ→相互理解→必要な修正→合意までが一連のプロセスです。
- 言語対応:日本語に加え、英語等での対訳を準備(優先言語を明記)
- 説明責任:給与内訳・労働時間・休日・控除・寮費を口頭+書面で説明
- 別紙の活用:シフト例、変形労働、寮規程、想定手取り表は別紙で具体化
- 改定手順:変更が必要な場合の手順(事前通知・合意)を明記
- 署名・日付:労使双方(必要に応じ通訳)で署名、原本と控えを各自保管
トラブル防止のチェックリスト(コピペ可)
- □ 基本給・手当の内訳と固定残業の有無・時間数が明記されている
- □ 労働時間・シフト(全パターン)と変形労働の有無が書かれている
- □ 休日の扱い(土日祝、代休・振替のルール)が具体的
- □ 割増賃金の率・計算方法が明確
- □ 控除項目・寮費・光熱費の負担者が明示され、想定手取りが示されている
- □ 締め日・支給日・支払方法・送金手数料・通貨が記載されている
- □ 日本語+英語(必要に応じタガログ語)の読み合わせを実施した
- □ 変更時の改定手順と合意の取り方が明示されている
まとめ:契約を作り込む=関係を強くする
外国人も日本人も人間としての課題は同じ。違いは契約に対する重みです。後のトラブルは、契約時の曖昧さが原因であることが大半。
読み合わせて理解し、必要なら修正して、より良い契約に仕上げる——この姿勢が、双方の信頼を守り、定着につながります。
株式会社オーティル


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