特定技能で採用・呼び寄せするならどっち?

インドネシア人とフィリピン人を「実務レベル」で徹底比較
特定技能の採用で「国をどう選ぶか」は、採用成功の8割を決めます。
同じ分野・同じ給与条件でも、呼び寄せの手続き難易度、来日までのリードタイム、定着の作りやすさが国によって大きく違うからです。
この記事では、受け入れ企業の目線で、インドネシア人とフィリピン人の違いを“使える比較”として整理します。
1. 大前提:入管手続きは同じ。でも「相手国手続き」が違う
日本の在留資格(特定技能)に関する要件は、国籍で基本的に差がありません。
差が出るのは、**各国政府が求める手続き(出国・労働者保護制度)**です。
- フィリピン:MWO(旧POLO)/DMW(旧POEA)関連の審査や手続きが必要になりやすい フィリピン大使館 東京+2SMILEVISA+2
- インドネシア:インドネシア側の登録・提出フロー(IPKOL/SISKOP2MI等)を踏む前提で設計されている 法務省+2谷島行政書士+2
ここを理解すると「なぜ国で難易度が変わるのか」が腑に落ちます。
2. まず結論:企業タイプ別の“向き・不向き”
フィリピンが強い企業
- 初めての特定技能で、手続きの確実性を最優先
- 介護・外食・宿泊など“会話/報告が重要”な現場
- **定着(長期)**を最重要視
- 多少時間がかかっても、運用の安定を取りたい
インドネシアが強い企業
- 建設・製造など作業中心で、現場教育を回せる
- 受け入れ経験があり、社内で進行管理できる
- なるべくリードタイムを短くしたい
- 送り出し側の選定(質の見極め)ができる
3. 呼び寄せ(海外から来日)の“詰まりポイント”比較
ここが最重要です。実務で詰まるのはだいたいこの5つ。
3-1. 追加審査の有無(フィリピンは「契約確認」が鍵)
フィリピンは、労働者保護の観点から**雇用契約の確認手続き(Employment Contract Verification等)**が案内されており、受け入れ側が必要書類を準備して審査を受ける流れが示されています。 フィリピン大使館 東京+2MWO Tokyo+2
→ ここが「書類が多い」「時間が読みにくい」主因になりやすい。
実務ポイント
- 契約書の条項不足があると、修正・追完(追加条項)対応になることがある MWO Tokyo
- 受け入れ企業側が提出主体になるケースが想定されている資料もある(支援委託していても自社対応が発生しやすい) 外国人採用の窓口+1
3-2. インドネシアは「提出ルート(IPKOL等)」が鍵
入管庁の案内資料で、雇用契約書をIPKOLを通じて提出する必要がある旨が示されています。 法務省
また、インドネシアの特定技能はMoC(協力覚書)に基づく枠組みで、IPKOL/SISKOP2MIが中核とされる説明があります。 谷島行政書士+1
実務ポイント
- ルートを外すと進まない(ブローカー経由での混乱など)
- “送り出し”の品質差が出やすいので、相手側の実務力が重要
4. 来日までのリードタイム(体感の差)
※個別案件で上下しますが、「遅れる要因」が国で違います。
フィリピン:遅れやすい要因
- MWO/DMW関連の確認・手続きの追加(契約書・会社書類など) 法務省+2SMILEVISA+2
- 出国関連の段取り(OEC等の話題が出やすい) SMILEVISA+1
→ その代わり、プロセスが厳格で“後工程の事故”が減りやすいのが特徴。
インドネシア:遅れやすい要因
- IPKOL/SISKOP2MI等の登録・提出の詰まり 法務省+1
- 相手側(送り出し・候補者側)の準備不足(教育、健康診断、書類)
→ 早い案件は早いが、相手側の実務でバラつくのが特徴。
5. 日本語力・職場コミュニケーションの傾向(現場運用)
ここは「国民性」ではなく、教育設計と、採用ターゲット層で差が出ます。
フィリピン:強みが出やすい場面
- 報告・連絡・相談が必要な職場
- 接客・利用者対応(介護/外食/宿泊)
- OJTで「なぜそうするか」まで伝える現場
→ 英語が通じるかではなく、“日本語での対話”に早く乗る人が比較的多いという実務上のメリットが出やすい。
インドネシア:強みが出やすい場面
- 作業が工程化されている(製造・建設など)
- 手順書・指差呼称・安全ルールを徹底できる現場
- 班長・教育係がついて回せる現場
→ **現場の仕組み(標準化)**があるほど安定しやすい。
6. 分野別「おすすめ」—採用成功率が上がる組み合わせ
(※分野は企業の得意・教育体制で逆転します)
- 介護:フィリピン優位になりやすい(会話・生活支援・記録が多い)
- 外食:フィリピン優位になりやすい(衛生+指示理解+対人)
- 製造:両国とも強い(工程設計が鍵)
- 建設:インドネシア優位になりやすい(班運用・作業中心)
- 自動車整備:両国とも「日本語×安全×技能」が鍵(国より採用設計で決まる)
7. 定着・転職の“起き方”の違い(企業が対策できる形で整理)
フィリピンで起きやすい課題
- 手続き・書類面の負担が大きい分、受け入れ側が疲弊すると支援が雑になり、生活面で不満が出る
→ 対策:支援フローをテンプレ化(面談・相談窓口・住居ルール)
インドネシアで起きやすい課題
- 同国人ネットワークで情報が回りやすく、条件比較で転職が動機になることがある
→ 対策:評価制度・昇給設計・キャリア提示を早い段階で見せる
8. 採用・呼び寄せで失敗しない「国選びチェックリスト」
最後に、実務で使えるYes/Noで。
フィリピンが合う会社(Yesが多いほど)
- 初めての特定技能で、確実性を最優先したい
- 介護/外食/宿泊など、会話・報告が多い
- 多少時間がかかっても、制度運用を安定させたい
- 書類対応をきっちり回せる(担当者/行政書士/支援機関)
インドネシアが合う会社(Yesが多いほど)
なるべく早く充足したい(採用スピード重視)
建設/製造など、工程が標準化されている
班長・教育係がいて、現場で育てられる
送り出しの質を見極め、進行管理できる
