製造業で特定技能を雇用する場合の注意点

〜採用前に知らないと失敗する実務ポイント〜
製造業は特定技能の中でも、
採用数が多く、同時にトラブルも起きやすい分野です。
理由はシンプルで、
「現場作業だから大丈夫だろう」と制度理解が浅いまま採用してしまうケースが多いからです。
本記事では、
製造業で特定技能外国人を雇用する際に、企業が必ず押さえるべき注意点を、実務ベースで解説します。
目次
1. まず大前提:製造業なら何でもできるわけではない
製造業の特定技能は、
正式には 「工業製品製造業分野」 です。
✔ 対象となる業務(例)
- 機械加工
- 金属加工
- プレス・溶接
- 組立・仕上げ
- 検査
- 鋳造
- 表面処理
- 塗装(※工業塗装)
✖ 対象外になりやすい業務
- 単純な梱包・仕分けのみ
- 清掃だけ
- 事務作業中心
- 倉庫作業のみ
- 製造と関係のない付随業務が主業務
👉 「製造現場にいる=特定技能OK」ではありません。
実際に従事する作業内容が問われます。
2. 求人票と実際の作業内容のズレは致命的
製造業で最も多い不許可・指摘理由がこれです。
よくあるNG例
- 求人票:機械加工
- 実際:ライン作業と梱包が中心
- 求人票:溶接
- 実際:補助作業のみ
このズレがあると、
- 在留資格不許可
- 更新時の不許可
- 立入検査での是正指導
につながります。
👉 求人票は「実態に合わせて書く」ことが最重要です。
3. 技能実習からの切り替えは「職種一致」が絶対条件
製造業は技能実習からの移行が多い分、
職種・作業の不一致トラブルが頻発します。
例
- 技能実習:機械加工
→ 特定技能:組立中心
→ NGの可能性あり - 技能実習:工業塗装
→ 特定技能:建設塗装
→ 完全NG
👉 「同じ製造業だからOK」は通用しません。
4. 安全面の説明不足は労災・行政指導につながる
製造業は危険作業が多いため、
特定技能外国人には以下が必須です。
✔ 安全教育(母国語 or わかりやすい日本語)
- 機械の危険ポイント
- 非常停止
- 保護具の着用
- 事故時の報告ルート
✔ 日本語での安全指示が理解できているか
- N4レベルでも
「専門用語」は別問題
👉 「日本語試験に合格している=安全指示が通じる」ではない
点に注意が必要です。
5. 製造業は「教育体制」がないと定着しない
製造業では、次のような企業ほど離職が起きやすいです。
- 教える人が毎回違う
- 現場で怒鳴る文化がある
- マニュアルが日本語だけ
- OJTが属人化している
定着しやすい工場の特徴
- 教育担当者が決まっている
- 作業手順が図・写真で共有されている
- できる作業範囲を段階的に広げる
- 評価基準が明確
👉 製造業では「人材」より「受け入れ設計」が結果を左右します。
6. 同一労働同一賃金は必ず見られる
特定技能は
日本人と同等以上の待遇が求められます。
特に見られるポイント
- 基本給
- 残業単価
- 夜勤手当
- 昇給の有無
「日本人はベテランだから高い」は理由になりません。
👉 同じ作業・同じ責任なら、同水準が原則です。
7. 製造業は転職リスクも高い分野
製造業は求人が多く、
外国人にとって「次が見えやすい」分野でもあります。
転職を招きやすい要因
- 賃金が地域相場より低い
- 夜勤が多すぎる
- 作業が限定的すぎて成長を感じない
- コミュニケーションが取りづらい
対策
- 昇給・スキルアップの道筋を見せる
- 特定技能2号の可能性を説明する
- 面談を定期的に行う
8. 製造業で特定技能を成功させる企業の共通点
最後にまとめです。
✔ 作業内容を正確に整理している
✔ 求人票と現場が一致している
✔ 安全教育を軽視していない
✔ 教育担当が決まっている
✔ 評価・昇給の仕組みがある
✔ 支援体制(自社 or 登録支援機関)が機能している
まとめ
製造業で特定技能を雇用する場合、
単に「人手が足りないから」では失敗します。
重要なのは、
- 作業内容の正確な整理
- 制度理解
- 受け入れ体制の設計
これができていれば、
製造業は特定技能と非常に相性の良い分野です。
