2026年の特定技能はこう変わる!

受け入れ企業が必ず知っておくべき新ルールと実務ポイント**
特定技能制度は、2025年の制度改正を経て、大きな転換点を迎えます。
その影響がもっとも色濃く現れるのが 2026年(令和8年)。
「年間届出への変更」「長期在留のしやすさ」「書類作成の厳格化」など、受け入れ企業にとって見逃せないポイントが次々と始まります。
本記事では、2026年に向けて押さえておくべき最新情報を、実務目線でわかりやすく解説します。
1. 2026年は“定期届出の初年度”に。提出のタイミングが大きく変わる
2025年の省令改正により、特定技能の「活動状況・支援状況に関する定期届出」は
3か月ごと → 年1回に一本化されました。
そして、2026年4月〜5月は、
全国の受け入れ企業が新ルールで初めて定期届出を行う時期
となります。
✔ 何が変わる?
- 提出頻度が激減 → 事務負担は軽くなる
- その代わり「まとめて正確に」提出する必要がある
- 支援記録・面談記録の整備がより重要になる
✔ 企業がやるべきこと
- 支援計画・面談記録のフォーマット統一
- 2025年度分の記録を整理しておく
- 提出月(4月〜5月)のスケジュール確保
特に複数名を受け入れている企業は、ここでつまずく可能性が高いので注意が必要です。
2. 特定技能1号の在留期間が最大「3年」に。長期雇用がしやすい時代へ
2025年9月の制度改正によって、特定技能1号の在留期間が
最長1年 → 最長3年
へと延長可能になりました。
これにより、2026年以降は
「毎年更新のストレスが減り、安定した雇用が組める」
というメリットが企業にも本人にも生まれます。
✔ 長期雇用のメリット
- 更新書類の負担が減る
- 労務管理が安定する
- 本人のスキル定着が進み、即戦力の期間が伸びる
✔ 注意点
- 更新年数はケースごとに異なる(3年が必ず付くわけではない)
- 労働条件通知書・就労契約の整合性がこれまで以上に問われる
3. 産休・育休・傷病休業が「5年の在留上限」にカウントされないルールへ
これまで特定技能1号は 通算5年までと決められていました。
しかし、2025年以降、以下の期間は5年のカウントから除外できます。
- 産前産後休業
- 育児休業
- 病気・怪我などによる休業
✔ 実務としてはどう変わる?
- 5年以内に帰国させる必要が薄れ、実質的な長期雇用が可能に
- 女性スタッフのキャリア継続がしやすくなる
- 介護・飲食など人手不足が深刻な分野で継続雇用が進む
これは企業側にとっても大きなプラスです。
4. 2026年1月から「行政書士法改正」→ 書類作成の代行が厳格化
ここは2026年で最も注意すべきポイントです。
行政書士法改正により、有償の書類作成代行は“行政書士か弁護士のみ”が原則となります。
✔ 影響が大きい領域
- 在留資格申請書類の作成
- 変更・更新・登録支援機関関連の手続き
- 特定技能のための契約書・支援計画書類
これまで「支援機関」「人材会社」「コンサル」が行っていた代行業務の一部は、
2026年以降違法になる可能性が高いため注意。
✔ 受け入れ企業が取るべき対策
- 契約している支援機関の業務範囲の見直し
- 行政書士との明確な業務分担
- 自社でできる業務と専門家が必要な業務を切り分ける
5. 新制度「育成就労」との連携が本格化。特定技能への移行ルートが明確に
2025〜2027年にかけてスタートする
「育成就労制度(旧・技能実習)」
は、特定技能1号への移行を前提に設計された制度です。
2026年は、その運用が実質的に固まり始める年となります。
✔ ポイント
- 育成就労 → 特定技能への移行がスムーズになる
- 分野ごとに求められるスキル基準が明確化
- 「嘱託監査人」の関与によりコンプライアンスが強化
企業としては「中長期の人材戦略」を立てやすくなります。
6. 分野追加・受け入れ枠拡大の可能性が高い(物流・リネン・資源循環など)
政府は慢性的な人手不足が続く業界を中心に、
さらに 新分野の追加検討 を進めています。
候補とされているのは以下:
- 物流倉庫
- リネンサプライ
- 資源循環(リサイクル)
- 自動車整備の細分化
- 製造業のさらなる分野追加
2026〜2027年にかけての制度拡大が濃厚です。
まとめ:2026年は「特定技能の実務が大きく変わる」節目の年
2026年は特定技能制度において、次の3点が特に重要です。
🔵 ① 定期届出の新ルールが開始
→ 年1回になるが、提出精度が重要に。
🔵 ② 長期在留・定着がしやすい制度に進化
→ 3年更新・休業期間のカウント除外など。
🔵 ③ 書類作成代行の厳格化
→ 行政書士法改正で、企業・支援機関は体制見直しが必要。
