外国人人材のトラブル 契約

外国人労働者を雇用する際、受入れ企業は手続きを急ぐあまり、給与や勤務体系の記載が甘くなることが少なくありません。一方で、雇用される側は自分に不利な条項は読み飛ばすことがあっても、給与・手取り・勤務時間などは確実に確認します。ここを曖昧にすると、後でトラブルにつながる可能性が高まります。MWO(在外フィリピン労働事務所)提出も見据え、実務的に「何をどこまで書くか」を整理しました。


目次

なぜトラブルが起きるのか(よくある原因)

  • 書類点数が多く、雛形のままで重要項目が薄い
  • 給与は総額だけで、手当・控除・寮費が曖昧
  • 労働時間・シフト・残業手当の基準が不明確
  • ホテル・リゾート等で土日祝が休日扱いにならない但し書きがない
  • MWOの雛形に自社運用の必須事項を追記していない

絶対に明記するべき「お金」の項目(手取りまで落とし込む)

  • 基本給
  • 各種手当(職務・皆勤・通勤・住宅・夜勤・固定残業の有無と内訳・時間数)
  • 控除項目(所得税・住民税・社会保険料)
  • 寮費/水道光熱費/インターネット等の自己負担
  • 支給日/締め日/支払い方法(現金・口座振込・送金手数料の負担者)
  • 通貨(円表記)、海外送金サポートの有無
  • 想定手取り額(総支給 − 控除 = 手取り)を数式または表で明示

※「手取りがいくらになるか」を本文または別紙で示して説明すると、後の認識ズレを大きく減らせます。

労働時間・休日・残業の書き方(曖昧さを残さない)

  • 1日の所定労働時間(例:実働8時間/休憩60分)
  • 始業・終業時刻(シフト制なら代表パターンを列挙)
  • 週の所定労働日数月平均所定労働時間
  • 休日の考え方(法定休日の扱い、振替・代休のルール)
  • 残業手当の計算基準(法定内/法定外、深夜、休日、割増率)
  • 変形労働時間制・シフト制の採用時は運用規程を別紙添付
  • ホテル/リゾート等で土日祝が休日扱いにならない場合は明記(代替休日の取り方も)

住まい・生活関連の明記事項

  • 寮の有無、個室/相部屋、設備(エアコン・Wi-Fiなど)
  • 寮費・敷金・保証金・退去時精算の方法
  • 水道光熱費・ネット代の負担者と概算
  • 勤務地までの通勤手段・通勤費の扱い

MWO雛形+自社追記で完成度を上げる

  • MWOの契約雛形は最低限。自社運用に合わせた必須項目(上記の給与内訳・手取り、シフト詳細、休日運用、寮規程、支給日・締め日等)を必ず追記
  • 日本語+英語(必要に応じてタガログ語)での併記を検討
  • 不当な違約金やパスポート預かり等、トラブルの元になる運用は回避
  • 署名欄は労使双方+通訳(該当時)で日付入り、契約改定の手順も明記

契約項目チェックリスト(コピペ用)

  • ☑ 基本給/手当の内訳を明記、固定残業の有無と時間数も記載
  • ☑ 控除(所得税・住民税・社会保険)と寮費・光熱費の負担が明確
  • ☑ 支給日・締め日・支払い方法・送金手数料の負担者を明記
  • ☑ 1日の実働・休憩、始業/終業、週日数、月平均所定時間を記載
  • ☑ 残業・深夜・休日割増の率と計算方法を定義
  • ☑ 休日の考え方(振替・代休ルール、土日祝の扱い)を記載
  • ☑ シフト制・変形労働時間制の運用規程を別紙添付
  • ☑ 寮の仕様・費用・退去精算、水道光熱費の負担者を明記
  • ☑ 契約言語(日本語+英語等)と優先言語、改定手順、署名・日付を完備
  • ☑ 別紙で想定手取りを算出・提示し、本人へ説明済み

誤解を防ぐ「手取り例」フォーマット(必要に応じて編集)

基本給__円
手当職務__円/夜勤__円/住宅__円/通勤__円/(固定残業:__h・__円)
総支給__円
控除所得税__円/住民税__円/社会保険__円/寮費__円/光熱費__円
想定手取り__円(総支給 − 控除)
※「雇用条件通知書(日本語)」と「雇用契約書(英語)」および MWO 様式の金額がすべて一致しているか要確認。

まとめ

  • 雇用される側は、給与・手取り・勤務時間・休日・寮費を最重視して確認する
  • ここを曖昧にすると、採用後のトラブルの火種に直結
  • MWO雛形をベースに、自社の運用実態に合わせた追記を必ず行う

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