【企業向け完全マニュアル】外国人特定技能人材の採用フローと必要手続き|失敗しない受け入れ方法とは?

著者:株式会社オーティル
特定技能制度を活用して外国人材を受け入れたいが、「手続きが複雑で不安」「失敗したくない」と感じていませんか?
本記事では、企業が外国人特定技能人材を採用する流れを完全マニュアル化。準備から採用、支援体制まで、現場目線で分かりやすく解説します。
特定技能外国人の採用とは?制度の概要と重要性
はじめに、特定技能制度の基本と、なぜ今この制度が企業にとって重要なのかを再確認しましょう。
特定技能制度は、国内の深刻な人手不足に対応するため、専門的なスキルを持つ外国人材を「即戦力」として受け入れるための在留資格です。2019年に創設されて以来、介護、建設、外食業など、特に人手不足が深刻な分野で多くの企業に活用されています。
少子高齢化が進み、国内での人材確保がますます困難になる中、特定技能人材の採用は、企業の事業継続と持続的成長を支えるための重要な経営戦略の一つとなっています。しかし、その手続きは煩雑で、正しい知識なく進めると時間やコストが無駄になるばかりか、採用した人材の早期離職にも繋がりかねません。
本記事では、この採用プロセスを体系的に理解し、成功に導くための手順を一つずつ解説していきます。
採用フローの全体像
特定技能外国人の採用は、大きく分けて以下の4つのステップで進みます。まずは全体像を把握しましょう。
【特定技能 採用フロー】
▼ STEP 1:受け入れ体制の整備
採用活動を始める前の準備段階。社内体制や労働条件を整えます。
▼ STEP 2:候補者の選定と試験
国内外から候補者を探し、面接や試験を通じて採用候補者を決定します。
▼ STEP 3:在留資格申請と手続き
内定者と雇用契約を結び、出入国在留管理局へ在留資格の申請を行います。
▼ STEP 4:就労開始と支援体制の整備
内定者が入国・入社し、就労を開始。法律に基づいた支援計画を実施します。
以下で、各ステップの具体的な内容と注意点を詳しく見ていきましょう。
STEP1:受け入れ体制の整備
採用活動を始める前に、社内の受け入れ体制を万全に整えることが成功の第一歩です。
- 労働条件の確定 : 給与は「日本人従業員と同等以上」であることが法律で定められています。就業規則や賃金規程を確認し、適切な給与水準と労働条件を定めます。
- 支援担当者の選任 : 特定技能外国人への支援を行う担当者を決めます。自社で支援体制を構築するのが難しい場合は、この段階で「登録支援機関」への委託を検討します。
- 住居の確保 : 社宅を提供する、または賃貸物件探しをサポートするなど、生活の基盤となる住居の確保方法を具体的に決めておきます。
- 事前ガイダンスの準備 : 業務内容や労働条件、日本での生活について、内定者が理解できる言語で説明するための資料を準備します。
STEP2:候補者の選定と試験
体制が整ったら、いよいよ候補者を探します。採用ルートは大きく「国内採用」と「海外採用」に分かれます。
【募集・選考方法】
- 国内採用:技能実習を修了した外国人や、元留学生などが対象。ハローワークや人材紹介会社を通じて募集します。
- 海外採用:現地の送出機関や登録支援機関を通じて募集します。
【試験の確認】
候補者が以下の試験に合格しているかを確認します。
- 技能評価試験:各分野で定められた業務に必要なスキルを測る試験。
- 日本語能力試験:「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT) N4以上」。
※「技能実習2号」を良好に修了した人材は、これらの試験が免除されます。
【面接】
スキルだけでなく、人柄、就労意欲、日本文化への適応性などを総合的に判断します。オンラインでの面接も一般的です。
STEP3:在留資格申請と手続き
採用する人材が決まったら、日本で就労するための在留資格を取得する手続きに進みます。ここが最も専門的な知識を要するステップです。
- 雇用契約の締結 : 採用が決まった候補者と「特定技能雇用契約」を締結します。
- 支援計画の策定 : 法律で定められた10項目の支援内容を盛り込んだ「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。(登録支援機関に委託する場合は、機関が作成をサポートします)
- 在留資格認定証明書(COE)の交付申請 : 必要な書類をすべて揃え、企業の所在地を管轄する「地方出入国在留管理局」に申請します。審査には通常1〜3ヶ月程度かかります。
- ビザ(査証)申請と入国 : COEが交付されたら、海外にいる本人へ送付。本人が現地の日本大使館・領事館でビザを申請し、取得後に入国・来日します。
STEP4:就労開始と支援体制の整備
無事に来日したら、いよいよ就労開始です。しかし、企業の役割はここで終わりではありません。採用後の支援体制こそが、人材の定着と活躍の鍵を握ります。
- 生活の立ち上げ支援 : 空港への出迎え、住民登録や銀行口座開設などの役所手続きへの同行、携帯電話の契約サポートなど、スムーズに日本での生活を始められるよう支援します。
- オリエンテーションの実施 : ゴミ出しのルール、交通機関の使い方、災害時の対応など、日本の生活ルールやマナーを伝えます。
- 継続的な支援の実施 : 「支援計画」に基づき、定期的な面談(3ヶ月に1回以上)を実施し、仕事や生活の悩みを聞き、孤立させない環境を作ることが義務付けられています。
必要な書類と提出先まとめ
在留資格申請には多くの書類が必要です。不備があると審査が大幅に遅れるため、慎重に準備しましょう。以下は代表的な書類です。
【受入れ企業が準備】
書類の種類 | 主な内容 |
---|---|
在留資格認定証明書交付申請書 | 指定の様式で作成 |
特定技能雇用契約書の写し | 労働条件を明記 |
1号特定技能外国人支援計画書の写し | 支援内容を明記 |
登記事項証明書、決算報告書の写し | 企業の概要を証明 |
報酬に関する説明書 | 日本人と同等以上であることを証明 |
【外国人本人が準備】
書類の種類 | 主な内容 |
---|---|
パスポート及び証明写真 | 有効期限内のもの |
技能試験の合格証明書の写し | スキルを証明 |
日本語試験の合格証明書の写し | 日本語能力を証明 |
健康診断個人票 | 指定の様式で作成 |
■ 提出先:企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局
※上記は一例です。業種や企業の状況によって必要書類は異なります。
手続きでよくある失敗と対策
【失敗例①】書類の不備で申請が大幅に遅延
対策: 専門知識を持つ登録支援機関に書類作成の段階からサポートを依頼しましょう。最新の法改正にも対応しているため、確実かつスムーズに申請を進められます。
【失敗例②】入社後のサポート不足による早期離職
対策: 採用はゴールではなくスタートです。定期的な面談はもちろん、業務以外の場でもコミュニケーションを取り、相談しやすい関係性を築くことが重要です。母国語で相談できる体制を整えることも有効です。
【失敗例③】「聞いていた話と違う」という認識のズレ
対策: 雇用契約時や事前ガイダンスの際に、給与、業務内容、残業の有無などを丁寧に、誤解のないように説明しましょう。登録支援機関の通訳を介して、相互の認識を確実にすり合わせることがトラブル防止に繋がります。
登録支援機関の活用メリット
ここまで見てきたように、特定技能人材の採用と支援には、専門的な知識と多くの工数がかかります。特に初めて外国人材を受け入れる企業にとって、その負担は計り知れません。
登録支援機関を活用することで、企業はこれらの負担から解放され、本来の事業に集中できます。
メリット1:煩雑な書類作成・申請手続きの代行
メリット2:多言語対応による円滑なコミュニケーション支援
メリット3:法律に基づいた適正な支援計画の実施
メリット4:採用から定着までの一貫したサポート
自社で全てを担うよりも、専門家に委託する方が結果的にコストパフォーマンスが高く、採用成功の確度も上がります。
まとめ|制度理解と支援体制が成功のカギ
特定技能人材の採用を成功させるためには、「採用フローの正確な理解」と「採用後の手厚い支援体制」の2つが不可欠です。
手続きの複雑さに圧倒されるかもしれませんが、一つ一つのステップを着実にクリアし、信頼できるパートナー(登録支援機関)と連携すれば、何も恐れることはありません。
特定技能制度は、貴社の未来を切り拓く力強い仲間を迎えるための制度です。
本記事が、その第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
特定技能人材の採用フローや手続きに、少しでも不安を感じていませんか?
株式会社オーティルは、数多くの企業の特定技能人材採用を支援してきた専門家集団です。
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