【業種別解説】特定技能14分野をすべて比較!要件・試験・人数制限まとめ(2025年対応)

著者:株式会社オーティル

特定技能制度では、14の分野で外国人材を受け入れることが可能ですが、「自社が対象かどうか分からない」「どんな試験があるの?」と疑問に思う企業も多いです。

本記事では、各業種の条件・試験・受け入れ状況を一覧で比較し、最適な分野の見極め方を丁寧に解説します。

目次

特定技能の全14分野とは?

2024年の制度改正を経て、特定技能の対象は14分野に再編されました。まずは全体像を把握しましょう。

分野名主な業務内容の例
介護利用者の身体介護、レクリエーションの実施など
ビルクリーニング建築物内部の清掃、管理
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業鋳造、鍛造、機械加工、電気機器組立てなど
建設型枠施工、左官、鉄筋施工、内装仕上げなど
造船・舶用工業溶接、塗装、鉄工、電気機器組立てなど
自動車整備自動車の日常点検、定期点検、分解整備
航空空港グランドハンドリング、航空機整備
宿泊フロント、接客、レストランサービス、広報
農業耕種農業全般(栽培管理、収穫)、畜産農業全般(飼養管理)
漁業漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索)、養殖業
飲食料品製造業酒類を除く飲食料品の製造・加工、安全衛生管理
外食業飲食物調理、接客、店舗管理
自動車運送業バス・タクシー等の運転、点検整備
林業・木材産業育林、木材の製造、素材生産

この14分野は、国内での人材確保が特に困難な状況にある産業分野です。貴社の事業がこれらのいずれかに該当する場合、特定技能人材の受け入れを検討できます。

各分野の概要と受け入れ要件

ここからは、14分野それぞれの具体的な業務内容と、受け入れ企業に求められる主な要件を解説します。

① 介護

主な業務内容:利用者の心身の状況に応じた身体介護(入浴、食事、排泄の介助など)、その他付随業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助など)。※訪問介護等の居宅サービスは対象外です。

受け入れ要件:介護福祉士養成施設等を運営する事業者、または介護老人福祉施設、介護老人保健施設などの事業所であること。

② ビルクリーニング

主な業務内容:不特定多数の人が利用する建築物内部の清掃、衛生管理。

受け入れ要件:建築物衛生法に規定される「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けている事業者であること。

③ 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

主な業務内容:鋳造、鍛造、機械加工、金属プレス、電子機器組立てなど、製造業の基盤となる幅広い作業。

受け入れ要件:日本標準産業分類上の指定業種に該当し、製造品出荷額等の一定の要件を満たす事業者。

④ 建設

主な業務内容:型枠施工、左官、とび、電気通信、鉄筋施工、内装仕上げなど、多岐にわたる建設技能。

受け入れ要件:建設業法第3条の許可を受けた事業者であり、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録していること。

⑤ 造船・舶用工業

主な業務内容:溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立てなど、船舶の建造・修理に関する作業。

受け入れ要件:対象業務を主たる業務として行う事業所の事業者であること。

⑥ 自動車整備

主な業務内容:自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備(分解整備)。

受け入れ要件:道路運送車両法に規定される地方運輸局長の認証を受けた事業者であること。

⑦ 航空

主な業務内容:空港グランドハンドリング(手荷物の仕分け、航空機の誘導など)、航空機整備(機体・装備品等の整備作業)。

受け入れ要件:空港管理規則等に基づき、事業を行うことの許可・承認を受けた事業者であること。

⑧ 宿泊

主な業務内容:フロント業務、企画・広報、接客、レストランサービスなど、宿泊施設における多様なサービス。

受け入れ要件:旅館業法第3条第1項の許可を受けた事業者。風俗営業関連の施設は対象外。

⑨ 農業

主な業務内容:栽培管理、農産物の集出荷・選別などの「耕種農業」と、飼養管理、畜産物の集出荷・選別などの「畜産農業」。

受け入れ要件:農業を営む個人または法人。労働者を雇用して農業を営む事業者であること。

⑩ 漁業

主な業務内容:漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁労作業、安全衛生の確保などを行う「漁業」と「養殖業」。

受け入れ要件:漁業を営む個人または法人。

⑪ 飲食料品製造業

主な業務内容:酒類を除く、飲食料品の製造・加工、安全衛生管理全般。

受け入れ要件:対象となる飲食料品製造業を営む事業者であること。

⑫ 外食業

主な業務内容:飲食物の調理、接客、店舗管理全般。

受け入れ要件:日本標準産業分類上の「食堂、レストラン」「そば・うどん店」「すし店」などに分類される飲食店。

⑬ 自動車運送業

主な業務内容:バス、タクシー、トラックの運転および点検整備。

受け入れ要件:道路運送法や貨物自動車運送事業法に基づく許可を受けた事業者であること。

⑭ 林業・木材産業

主な業務内容:育林、素材生産、木材製造、建築用木材製造など。

受け入れ要件:林業または木材産業を営む事業者であること。

分野ごとの技能試験・日本語試験

特定技能の在留資格を得るには、原則として「技能評価試験」と「日本語試験」の両方に合格する必要があります。

日本語試験(全分野共通)

  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上

技能評価試験(分野ごとに異なる)

  • 介護:介護技能評価試験
  • 外食業:外食業技能測定試験
  • 建設:建設分野特定技能1号評価試験
  • 宿泊:宿泊業技能測定試験
    …など、各分野で指定された試験に合格する必要があります。

【重要】技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能実習時の職種と特定技能の分野が関連していれば、これらの試験がすべて免除されます。

分野別の受け入れ人数と実績(2025年版)

出入国在留管理庁の最新データ(2024年末時点の速報値)によると、特定技能外国人の総数は20万人を突破し、多くの分野で活躍が広がっています。

順位 : 分野名在留人数(概算)
1位 : 飲食料品製造業約85,000人
2位 : 農業約35,000人
3位 : 建設約30,000人
4位 : 素形材・産業機械等約25,000人
5位 : 介護約20,000人

(※上記は概算値です。最新の正確な数値は出入国在留管理庁の発表をご確認ください。)

また、分野によっては年間の受け入れ人数に上限(受け入れ見込み数)が設定されています。特に建設分野や介護分野は上限が定められているため、採用計画を立てる際には注意が必要です。

企業が分野選定で気を付けるべきこと

自社がどの分野で受け入れ可能か判断する際には、以下の点に注意してください。

  1. 事業内容との一致確認 : 会社の定款や登記簿謄本に記載されている事業目的と、特定技能の分野定義が一致しているか、厳密に確認する必要があります。判断に迷う場合は、必ず専門家に相談しましょう。
  2. 必要な許認可の有無 : 「建設業許可」「自動車整備事業の認証」「旅館業の許可」など、分野によっては事業を行う上での許認可が受け入れの前提条件となります。
  3. 分野特有の義務の把握 : 建設分野の「建設キャリアアップシステムへの登録義務」や、各分野で設置されている「協議会への加入義務」など、分野ごとに課されるルールがあります。これらの義務を果たさないと、受け入れが認められないため事前の確認が不可欠です。

まとめ|自社に合う分野を見極めるポイント

特定技能14分野は、それぞれに異なる業務内容とルールが定められています。自社に最適な分野を見極め、スムーズに採用を進めるためには、以下の3つのポイントが重要です。

  1. 自社の事業内容と許認可を正確に把握する
  2. 希望する分野の特有ルール(協議会加入など)を理解する
  3. 判断に迷ったら、早い段階で専門家(登録支援機関)に相談する

安易な自己判断は、申請の遅れや不許可のリスクを高めます。専門家の知見を活用し、確実な一歩を踏み出しましょう。

「自社の事業は、どの分野に該当するのだろう?」
「分野選定から採用手続きまで、まとめてサポートしてほしい」

株式会社オーティルは、特定技能制度のプロフェッショナルとして、多くの企業の分野選定をサポートしてきました。

貴社の事業内容を丁寧にヒアリングし、最適な分野のご提案から、複雑な申請手続き、採用後の支援まで一貫してご支援します。

まずは無料相談から、貴社のお悩みをお聞かせください。

目次