MWO書類申請のコツ|差し戻しゼロで通すための実務ガイド(2025年版)

MWO書類申請のコツ|差し戻しゼロで通すための実務ガイド(2025年版)

「特定技能や一般採用でフィリピン人材を受け入れたいのに、MWO(Migrant Workers Office)への書類が複雑で不安」「差し戻しでスケジュールが崩れるのが怖い」——そんな担当者向けに、“差し戻しを防ぐ”ための具体策を、チェックリストと整合ルールでまとめました。本稿は、DMW/各MWOの公開情報と実務の定石を整理したものです(制度・様式は更新されるため、必ず最新の公式案内を確認してください)。


目次

1. 最初に押さえる全体像(はじめての方へ)

  1. フィリピン側の体制づくり:原則として、DMW許可の比側人材紹介会社(PRA)と組み、海外雇用主の「初回認定(Accreditation)」を行います。代表例:SPA(委任状)・RA(Recruitment Agreement)・Job Order(求人票/人員要請)・雇用主登録書類などを整える。
  2. 雇用契約の作成DMW標準雇用契約(MEC/SEC)をベースに、会社フォーマットを使う場合は、不足条項をAddendum/Amendmentで補完します。標準条項が欠けた契約は差し戻しの典型
  3. MWOで「契約確認(Verification)」:在外のMWO(東京/大阪等)が契約を検証。OEC(出国許可)発給の前提は“Verified Contract”です。

参考:MWOはフィリピンDMWの海外実施機関で、契約検証や福利保護の実務窓口です。


2. 「差し戻し」を生まない基本作法(東京・大阪の実務ポイント)

  • 紙仕様の統一:A4用紙、ホチキス不可(クリップ留め)タイプ入力(手書き・修正痕NG)署名・社判/ハンコは原本(電子署名は不可)。
    ※ MWO-Tokyoの明示ルール。申請束の体裁不備は差し戻しの“即死”要因です。
  • 並べ順は「チェックリスト」通り:MWO掲載のチェックリスト順で編綴。順番違い・欠紙は即差し戻し。大阪の公開チェックリストも参照。
  • 費用の誤解に注意:MWO-Tokyoは検証手数料を徴収しない旨を明記。別国のMWOでは手数料規定があるケースもあるため、担当MWOの案内を必ず確認。

3. 初回認定(Accreditation)で落ちないための「整合5点セット」

雇用主の初回認定は、書類の“名寄せ”と“論理整合”がカギです。

  1. 法人情報の完全一致:会社名(登記簿の英訳名含む)・本社/事業所住所・電話・代表者名を、登記事項(日本なら「登記事項証明書/登記簿謄本:Toukibo Tohon」)とSPA/RA/Job Order/契約で1文字違いなく統一
  2. 権限証明の二段構え:署名者の権限(役職/委任)と身分確認書類。PRA側の要求で代表者ID写し等が求められる例あり。
  3. Job Order ↔ 契約の一致:職種名、募集人数、給与レンジ、勤務地を相互に一致。
  4. 法令適合の宣誓:日本の労基・最賃・社保・労災等に適合する旨を明文化(条項/Addendum)。
  5. PRA書類の正当性:比側ライセンス有効、RAの期間・独占有無、手数料規定の法適合を確認。

4. 契約検証(Verification)で止まらないための「内容チェック」

4-1. DMW標準条項の網羅

  • 休暇・医療・保険・交通費・解雇/退職等の標準条項を漏れなく盛込む。自社雇用契約を使う場合はAddendum/Amendmentで補完。
  • 通貨・支払日・送金手数料負担の明記(数字の突合)。
  • 日本法の割増賃金・所定/変形・深夜休日の扱いを条文化(宿泊/外食/製造など分野特性に合わせる)。

4-2. 同一人物・同一条件の“数字合わせ”

  • 氏名表記:パスポート通り(ローマ字/ミドルネーム)で統一。
  • 金額一致:契約書・報酬説明・見積・給与内訳の総支給/控除/手取りが矛盾しない。
  • 職務整合:Job Order/契約/会社説明資料の職務記述が一致。

4-3. 書面の有効性・品質

  • 有効期限:健康診断・写真(多くは3か月以内目安)・試験証明の期限管理。
  • 原本性:署名・ハンコは原本、電子署名不可(東京の明示事項)。
  • スキャン品質:影・傾き・欠け・彩度過多を避け、A4で視認性を担保。

5. ケース別:日本での提出束に入れがちな書類(例)

※ 実際は各MWOのチェックリストが最優先。大阪公開のプロ・スキルド向けチェック表も必ず参照。 :contentReference[oaicite:12]{index=12}

  • Verified/Standard Employment Contract(不足はAddendumで補完)
  • Job Order / Manpower Request
  • Recruitment Agreement(雇用主–PRA)SPA(委任状)
  • 会社登録書類(登記簿等/代表者権限の裏付け)
  • 労働条件補足資料(賃金テーブル、就業規則抜粋 等)
  • 労務/保険の適用根拠(加入証明や宣誓書 等)

6. OEC(出国許可)までの最短ルートの作り方

  1. MWO契約検証を先行:Verified ContractはOEC発給の最重要前提。契約整合と原本性を最優先で固める。
  2. Accreditationと並走:雇用主認定の書類は“名寄せ”を徹底。社名・住所・代表権限の不一致が最頻差し戻し。
  3. 束ね方を標準化:社内で「MWO提出パック」テンプレを作成(表紙に案件名・提出先・連絡先・書類一覧・版番号)。

7. “差し戻しあるある”トップ10(回避テク付き)

  1. 旧様式の使用 → 提出前日に公式フォルダを再DL。版管理(ver/日付)を本文に記載。
  2. 手書き・修正液 → タイプ入力のみ。誤記は作り直し
  3. 電子署名 → 原本署名・社判のみ可。電子は不可(東京)。
  4. 並べ順の乱れ → チェックリスト順で編綴。大阪の公開表も参照。
  5. Job Order↔契約の不一致 → 職種/人数/給与/勤務地を照合表で突合。
  6. 氏名・生年月日の不一致 → パスポート表記で統一し、全書類を一括置換。
  7. 賃金の数字不整合 → 総支給・控除・手取りを数式付き別紙で提示し整合。
  8. 登記書類と代表者権限の齟齬 → 代表者変更時は委任状/議事録/改印を付す。
  9. 紙仕様違反(A4以外/ホチキス) → A4・クリップ・両面可否は案内に従う。
  10. 費用取り扱いの誤解 → 東京は検証手数料なし。別国のMWOは別規定あり。

8. 目安フロー&所要期間

  • 初回認定(Accreditation):書類の整合度と窓口混雑に依存。事前にPRAと要件擦り合わせ。{index=23}
  • 契約検証(Verification):予約制/持込/郵送など運用は各MWOで異なる。公式の案内・休日情報を必ず確認。
  • OEC発給:Verified Contractが前提。審査や繁忙期で変動。

サービス標準や手順の基本はDMWの市民憲章も参照(国全体の窓口基準)。


9. 提出直前の“最終チェックリスト”(コピペOK)

  • チェックリスト順に並べ、A4・クリップ留め・タイプ入力のみ(修正痕なし)
  • □ 雇用主名・住所・代表者が登記と完全一致(SPA/RA/Job Order/契約)
  • □ 契約条項がDMW標準を網羅、不足はAddendumで補完
  • □ 職種・人数・給与・勤務地がJob Order=契約で一致
  • □ 氏名・生年月日・旅券番号がパスポート通り
  • □ 総支給・控除・手取り・支払日・通貨が全資料で一致
  • □ 署名・社判は原本、有効期限のある証明は最新 }
  • □ 提出先MWOの最新告知/休日/予約方法を確認(東京/大阪の公式サイト等)


まとめ:差し戻しは「体裁・整合・最新版」の3点でほぼ防げます。
体裁=A4/クリップ/タイプ入力/原本署名。
整合=Job Order・契約・登記の“名寄せ”と金額一致。
最新版=様式と告知を提出直前に再確認。
この3点を習慣化し、提出束の標準パックを社内で整えれば、審査は一気に安定します。

※本稿は2025年9月時点の公開情報に基づく一般的ガイドです。運用・様式は更新され得ます。提出前に必ず各MWOの最新案内をご確認ください。

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